壊れた器は自分で金継ぎ(1)素地の調整、素地固め

壊れた器は自分で金継ぎ(1)素地の調整、素地固め

器が好きです。
たくさん器があると、どれだけ大事に使っていても欠けたり割れたりするのは避けられないもの。
そんなときに捨てるのももったいないけど、プロにお願いして直してもらうと1万円以上もかかってしまいます。器は好きとはいえ、決して高級なものではなく、1枚数千円のものなのでさすがにそれほどもコストをかけられません。

そこで、自分で金継ぎで直そうと思い立ち、以前その方法を調べました。
そのさいに購入した漆などの材料が届いたので、実際に金継ぎ(正確には真鍮本漆継ぎ)をやってみます。
まずは最初の工程をやりました。
・素地の調整
・マスキング
・素地固め
・乾燥

調整、素地固めをやっていきます。

素地の調整

割れたり、欠けたりしたままだと角が立っているので、ヤスリで削ってならします。
目的は、口当たりを良くしたり、漆の食いつきを良くするためのようです。

使用したのはダイヤモンドやすりです。プラモデル用に売っている数百円のものが家にあったのでそれを使いました。
ヒビの場所は先端でひっかくように削るので細いものが必要です。

先端が細いヤスリを使用。左のマスキングテープは次の工程用。

欠けたり割りたりしている場所は、ヤスリの平たい面で削ります。
どのくらい削ればいいのか正直よくわかりませんでしたが、指の腹で触って引っかかりがない程度に削りました。
ここでたくさん削れば出来上がりの継ぎの線が太くなり、少しにすれば細くなるようです。
つまりは自分の好みに合わせてやればいいのではないかと思います。

この作業はあまり難しくなく、ガシガシと削っていきます。

割れた面はヤスリの腹で削る。欠けた面も同じ。

一方で難しかったのが、ヒビに沿ったヤスリ掛けです。
ヒビの中に漆を染み込ませるためには、同様にそのヒビに沿ってヤスリをかける必要があるのですが、力加減を間違えると違うところを削ってしまい器を傷つけてしまいます。
ヤスリの先端を使って少しずつ丁寧にすすめていきます。

力加減を間違えるとすぐずれます。
ヒビがないと思っていた場所も目を凝らすとヒビが入っていました。

マスキング

次の工程で漆を塗るのですが、余分な部分にうっかり漆を塗らないようにするためにマスキングテープを使ってマスキングをします。

ガラスと磁器は漆がついてもすぐ拭き取れるのでマスキングをしなくてもいいようです。
陶器はマスキングをします。

細かく短冊状に切ったテープを少しずつ貼っていきます。結構大変。
内側は難しいので、貼り方が雑になり
後半は「こんなもんでいいでしょ」という気持ちで割と大雑把になりました。

素地固め

ヒビ以外の欠け、割れの器は漆に小麦粉や木の粉などを漆に混ぜたもので隙間を埋めていきます。
これらの漆がしっかり器と食いつくようにするために、接着面に漆を塗っておく工程です。

必要なもの。左上の漆以外は百円ショップや薬局で買いました。

使用したのは以下のとおりです。
・漆(藤井漆工芸で購入。金継ぎ用漆10 g 440円)
・アルコール(漆を塗りやすく伸ばすため)
・下敷き(漆とアルコールを混ぜるため)
・筆(ナイロン 0号)
・ビニール手袋(かぶれ防止)

漆は藤井漆工芸さんで金継ぎ用漆を購入しました。
他のサイトだと、使い切れないほどの量でしか買えないのですが、藤井漆工芸さんでは小分け販売に対応した「ちょこっと広場」という小分け販売に対応したサイトがあります。
ここで他の工程で必要になる、木の粉、砥の粉、弁柄と一緒に購入しました。
この10g単位で購入できるのは、調べた限り藤井漆工芸さんか浄法寺漆産業くらいでした。
浄法寺漆は岩手の国産漆のため高価だったため今回はやめました。

アルコールは漆を薄めるために使用しました。本当はテレピン油というものが揮発性も低くいいようですが、使いきれるかわからないため今回はアルコールで代用しています。
間違えていけないのは、消毒用アルコールではなく、燃料用アルコールです。
純度が違います。

さて作業工程です。
まずは下敷きの上に、漆を少々垂らします。今回複数枚の器をやりますが、チューブから一滴分垂らした量で十分でした。

漆は少量垂らしただけで十分でした。

隣にアルコールを少々垂らします。
これらを塗りやすい柔らかさになるよう、お互いを少しずつ混ぜながら作業をしました。
ヘラで混ぜるという説明がよくあったのですが筆のほうが混ぜやすかったので、塗る用の筆(ナイロン0号)で混ぜてしまいました。
アルコールは作業中もどんどん乾いていくため塗るたびに少しずつ混ぜながら作業を進めます。
テレピン油ならこのような作業は必要ないようです。

漆とアルコールは濃度を調整しながら作業

これを割れた面や欠けた面に塗っていきます。
ヒビには混ぜ物の漆を塗らないので特にやりませんでした。
また塗りの工程では手袋をはめています。

磁器ははみ出しても拭き取れるので大胆に
陶器ははみ出すとだめなので慎重に

塗ったあとは、余分な漆をティッシュで吸い取ります。
こすると伸びてしまうので当てて吸い取るだけ。

塗った面を
ティッシュで吸い取る。高速で吹いているように見えますが、撮影がヘタでぶれているだけです。

乾燥

漆を固める工程です。
乾燥といっていますが、カラカラに乾いたところでは漆は乾かず、むしろ湿度の高い環境で固まるそうです。
何℃何%がいいのかは諸説あるようですが(工程によって、使用する漆の成分によって異なる?)、いろんな説明を総合すると温度25〜35℃、湿度60%〜80%がいいようです。
このような温湿度になるよう調整した部屋を漆風呂と呼ぶようです。

この漆風呂を簡易的に自作しました。
空いていた適当な箱を用意し、今回漆を塗った器を中に入れます。
ここに濡らした手ぬぐいと温湿度計を入れて蓋をしました。

器と温湿度計と濡らした手ぬぐいを入れて蓋をします。

この温湿度計はBluetoothでスマホにつながり中の温湿度がわかるものになっています。
たまたま家にあったものですが、漆を固める用途にばっちりつかえました。

温度については夏なので冷房下でも問題なさそうですが、湿度がちゃんと上がってくれるか心配していました。
しかしデータを確認すると漆風呂内は常に70%〜80%で推移しており、問題なさそうだということがわかります。

漆風呂内に入れたあとは安定して高湿度を保っています。

この状態で一週間放置しました。
半日もあれば十分なようですが、作業する時間がなかったので。

まとめ

金継ぎをやってみようと思い立ち、作業を開始しました。
最初の乾燥工程までの、素地調整と素地固めを行いました。

作業時間自体は撮影しながらでも2時間程度でしょうか。
金継ぎの時間がかかるのは作業時間よりむしろ、漆が固まるのを待つ時間のようです。

ここまでの作業ではヒビのヤスリかけが一番難しかったです。
丁寧にやれば問題ないものの、丁寧ではないので少しきれいな面を引っ掻いてしまいました。
ヒビは割れや欠けよりも簡単だと考えていたので、意外な罠でした。

また続きの作業の様子をブログに載せようと思います。

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